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SACHIKO AYA

イラストレーター綾幸子のブログです。

2023-12

川島雄三

ずいぶん前、殿山泰司のエッセーで読んで以来、観てみたかった川島雄三監督の特集をフィルムセンターで上映しています。
読んだ時に「幕末太陽伝」(ほんとは伝は昔の字です)を借りました。
落語を題材にしてる割に暗い映画だな、、という印象でしたが、今年になって改めて観てみたら、良かったのです。
私も大人になったのか、、。
幕末という時代が移り変わろうとしているなかでの人々の生きることへの欲望と同時に諦めも感じられて、他の作品も観たいなと思っていたので、嬉しい企画でした。

とはいうものの、極めて異色の一本と紹介されている「グラマ島の誘惑」と、「わが町」しか観に行けていません。
「グラマ島の誘惑」は飯沢匡の原作で、天皇制や原水爆に対する皮肉が込められた悲喜劇です。
森繁久彌が怪しい皇族を演じていて笑えます。
フランキー堺がその弟役で出ているのですが、今でいうと、ちょっとおタクな若者なのです。
この頃、こんな批判精神を喜劇で見せるのって、すごいなあと思いました。
50年代の映画なのに、どたばたコメディ風な演出もあって。
でも、割と簡単に人も死んじゃうし、やっと始めた商売はダメになりそうだし、きっと原水爆実験もとめられないだろうし、、悲喜劇とはいえちょっと寂しい印象でした。

「わが町」は織田作之助の原作で、フィリピンのベンゲット道路を作ったことを誇りに思う不器用な車夫の人生です。
ものすごく小さい頃、伊藤雄之介の主演のTVドラマで泣いた記憶が有って、その時はベンゲッタだと思ってました。どうでもいいですが、、。
主人公の友達の売れない落語家役で、殿山泰司が出ていました。
そう言えば、エッセーに落語家の役をした事が書いてあったっけ。大阪弁も大変そうです。
いかにも売れなさそうな感じがよくでていて良かったです。
辰巳柳太郎が主人公で、やっぱり小さいころ祖母と一緒にTVでみた時代劇の印象が強かったけど、良かったです。

画面は、すごく奥行きを感じさせる構成です。
恥ずかしながら、そんな見方を学習したのはつい最近。映画師匠に教わったのです。
いままでは一場面一場面がきれいだなとか、主人公の気持ちになって映画を観ることが多かったのです。だから、登場人物の誰かに共感できないと、イヤだなとおもってました。

まだ三本しかみていないくせに、おこがましいのですが、
喜劇だったり人情物なのに、どこか寂しい印象で、
解説にも書いてありましたが、人生に対する締念と、そのなかで生きる事の哀歓が感じられます。

幅広く、色んな作品を撮っているのに不思議な気がします。
本当はすごく生きたいと思っているのに、それが出来ないというか照れがあるような気がします。
なんだか好きだな。

他の作品も観てみたいです。




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フランキー堺

フランキー堺フランキー堺(ふらんきー さかい、1929年2月13日 - 1996年9月10日)は、鹿児島県鹿児島市出身のコメディアン、俳優、ジャズ奏者(ドラム)。本名、堺正俊。昭和時代を代表する喜劇人であった。私立麻布中学を経て慶應義塾大学法学部卒業。大

状態レンタル落ち中古ビデオメーカーミュージアム公開・放映情報2005年113分スタッフ原作:大下英治監督:辻裕之ナレーション:星野仙一キャスト出演:吉岡美穂/宇崎竜童/室井滋/ベンガル/高田純次/千昌夫/間寛平/蟹江敬三ほか情報押尾学、映画初主演!’60年代後半、カラオ

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プロフィール

綾幸子

Author:綾幸子
イラストレーター。
セツモードセミナー研究科卒業後、装丁・挿画、雑誌や、広告でのイラストレーションなどを手がける。
絵本に、「パーティしよう!」「へんしんしよう!」(福音館書店)などがある。
広告の仕事に、鉄道会社ポスター、住宅不動産会社ポスター、パンフレット、百貨店でのワークショップなどがある。

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